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鹿児島弁講座
ドラマなどで よく聞かれる鹿児島弁を中心に取り上げました。 鹿児島弁と一口に言っても地域によって変容します。特に枕崎地方の人々の鹿児島弁は おなじ鹿児島弁がわかる鹿児島県人でも ほとんど理解できません。
現在 昔ながらの鹿児島弁を使えるのは だいたい60代以上の人々ではないかと思います。若い人たちは、鹿児島生まれ育ちでもまったく理解できないようです。 鹿児島弁を難しくしているのは、助詞だと思います。《音》が変化することで助詞の働きが変わります。

鹿児島弁は、江戸時代幕府の隠密による藩内探索を妨害するために意図して創作されたものだということが言われることもありますが、これは言語論からして俗説と思います。そもそも人間の使用する自然言語は、エスペラント語の失敗にみられるように、人工的に普及させられるようなものではありません。歴史的に見て、知識階層に間にみられるように、共通の言語を意図的に使用する慣習はラテン語などを考えれば当てはまりますが、同時代のすべての人々にまで人工的に意図的に特定の言語を浸透させることなど不可能なことです。 ましてや江戸時代の薩摩藩の内情といえば、武士階層においても、知識的素養など無縁の人々だったわけで、明日からこの言葉を使えと言われて、使えるようなものでは到底ないのです。ましてや、庶民において、昨日までと異なる言葉を使えと言われて使えるようになどなるわけがありません。ちょっと考えればすぐおかしいとわかることが、長い間俗説がまことしやかに語られていることは残念なことです。 

 したがって、鹿児島弁は、薩摩の地に自然的に発生してきた方言と言えると思います。個人的には、音の発生の仕方などからして、古代朝鮮語との関係を考えるのが適切ではないかと思います。《原》を《パル》と発音していることは、そのひとつの証左であると思います。また、鹿児島弁特有の早口でまくしたてるような話し方と朝鮮語とは音声的に似ているような気がするのですが、このあたりを専門的な研究しておられる方はいないのでしょうか。

・わい   相手を呼称する二人称表現   早口になると《わー》となります。
      《わーなをしっおっとよー》は《あなたはなにをしているか》という意味
補記:この《わい》という言葉の語源と古代朝鮮半島にいたと言われている《倭い族》と呼ばれていた人々との関係を指摘する説もあります。
・わっぜ・・・・・すごい、量や程度を強調する言葉
・じゃっど・・・・そうだ  相槌を打つとき使ったりする。 
         
・じゃっどん・・・・しかし、だか という意味
・おはん・・・・あなた だいたい女性が使いました 男性は《わー》とか《わい》
・おはんな・・・・あたなは   助詞の(は)が入るとこうなります。 
          助詞《は》だいたい《な》を多用
・あた(ん)げー・・・・・私の家(の)    
            例:《あたげーひと》は《うちの人》  
              《おはんげー》は《あなたの家》
・たっき/ずーずー・・・・・さっさと  早く
・せん・・・・・する doという意味で これに後に連結する言葉によって
         変化する。 《せー》は《しろ》という命令形  《せん》は《しない》
        例えば 《たっきせんか》は 《はやくしろ》  
        《せんど》は《しない》  《すっど》は《するぞ》
・ほげな・・・・そんな   《ほげなもん》は《そのようなもの》
・どけ・・・・何処へ    どこの《こ》と助詞の《へ》が一体化した発音
               になります。
       例: 《どけいっとょー》は《何処へ行くのか》
・しったい・・・・すっかり   ずいぶん  
・だれる・・・・・疲れる     
          例:《しったいだえた》は《かなり疲れた》
・ほげな・・・・・そんな    例:《ほけなこちゃ》は《そんなことは》
    例:《ほげなこつ すっど いかんど》は《そんなことをするといけない》
 
 
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