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鹿児島の観光の見どころ


 2008年度のNHK大河ドラマ《天璋院篤姫》放映の影響もあって、鹿児島への観光客が増加しているとのことですが、皆さんどんなところをめぐっておられるのでしょうか。しかし大河ドラマ効果がいつまでも続くわけもなく、リピーターを呼び込む魅力がなくては、鹿児島、宮崎の南九州観光の将来性も一過性のものに過ぎないでしょう。薩摩や日向などこんな歴史的に面白いところはないのですが、その面白さがどこにあるのか、観光に関わる人々はとんとわかっていないようなところかあります。黒豚や地鶏のように食だけで観光産業がやっていけるわけがありません。外国人とくにヨーロッパやアメリカあたりからの観光客がとんといない事実が何を物語っているのか。文化遺産や自然遺産のユニークさをもっと開発して発信していく必要があります。

 この薩摩紀行では、鹿児島を訪れる皆様のために、私なりに選択したスポットを紹介していますが、まだまだ面白いところはあります。
 
 南九州の観光は、大別すると3つをメインにしたら面白いと思いますが、特にAの日本国誕生にまつわる神話は、薩摩と日向を際立たせるものですが、その歴史的意味合いを知らないところに、魅力が沸かないのだろうと思います。
@南九州自然の旅 A神話と隼人の旅 B島津氏、幕末倒幕の旅



 ひとつは、南九州の自然環境を楽しむ旅です。これは、宮崎の日南海岸から入り、鹿児島の志布志、佐多岬、長崎鼻など、黒潮が作り出した南九州独特の海岸線が作り出す風景を楽しむ旅です。

二つ目は、同じく宮崎から入り、天孫降臨の神話を片手に、日南海岸の青島神社、鵜戸神宮、そして霧島に入り、鹿児島神宮から錦江湾を南下して磯庭園へと至る神話と自然の旅です。さらに南下して、薩摩半島南端の開聞岳、野間岬へと神話と隼人の旅は続きます。霧島、宮崎の日南、宮崎の高千穂峡、坊津などを訪ねる前に、日本の神話について、予備知識を仕込んでいけばきっと楽しい旅になると思います。

 そして最後が島津の歴史を訪ねる旅です。これが現在の《天璋院篤姫》観光のほとんどだと思いますが、島津氏の史跡観光では、磯庭園が中心でしょうか。鹿児島市で他に訪ねてほしい場所としては、島津島の菩提寺福昌寺跡です。現在その敷地の一部は玉竜高校になっていますが、このあたりが、鹿児島の城下町の発祥の地で、鶴丸城へ移る前の戦国時代末期の島津氏の町割りの跡です。現在でもその名残は残されています。篤姫の実家今和泉島津氏の屋敷もここにありました。このあたりを巡るには自転車など小回りのきく移動手段が必要です。観光地を訪ねる際には、折り畳み自転車は重宝します。有名な観光地には自転車は備えてありますが、鹿児島市にはまだありません。そういう発想がないのかも知れません。
  あとザビエル関係の史跡も訪れたらと思います。あの当時、わさわざ日本まで足を伸ばした西洋の人々が始めて公式に日本に足を踏み入れたのが、この鹿児島です。ペリーより数百年も前の異国との邂逅です。
 鶴丸城は熊本城のような城郭観光には向きませんが、なぜ城郭を島津氏が構えなかったかを考える意味で、訪れて見たらと思います。島津氏にとっての城郭とは、出水や知覧のような麓集落ですから、出水は訪ねてみる価値はあります。その麓とセツトとなっているのが、出水にある野間関のような関所です。野間関は車でいけますが、山間部の関所めぐりは大変です。

 そのほかに鹿児島市の観光では、城山の西南戦争の史跡関係です。西郷隆盛が最後のときを迎えたとされる洞窟跡が残されています。
 鹿児島の史跡観光は、萩や津和野のように一箇所に史跡が集積していないのが特徴で、鹿児島県全体で、ひとつの城郭を作り出しているようなところがありますので、磯庭園、城山、鶴丸城を見たら、あとはいくところがないというのが大方の感想じゃないかと思います。

 自然の好きな方には、1.霧島連山  2.錦江湾からの桜島の眺め―夕日に染まる桜島が私は好きです。3.東シナ海を望む開聞岳 4.西郷隆盛もよく出没した高隈山系などをお勧めします。

 鉄道ファンには、ぜひ肥薩線ですね。2009年4月25日に人吉熊本間にSLが復活しますので、肥薩線で『隼人の風』『しんぺい号』で人吉まで行って、そこからSLで熊本までレトロな旅が満喫できます。昔大隅線というのがあったのですが、廃止されてしまいました。錦江湾周遊には絶好だったと思いますが。

 南海の諸島を巡る船旅は、時間のある人にはお勧めです。最近は船便も採算が取れず運行休止する路線もあります。鹿児島にとって海は観光資源なのですが。

 しかし鹿児島の持っている面白みというのは外部者にはわかりにくいところでしょう。住んでみて初めてわかる異質性というものがあります。
 一言で言えば、今でも《一国》という意識が根強いところです。島津700年間にわたる支配者が変わらず形成されてきた郷土意識というものは、鹿児島の置かれている地理的条件も加わって、他県とは明らかに異なる異質性をかもし出しています。琉球意識がいまだ根強い沖縄とは別の意味で《一国》なのかもしれません。現在、幕末から明治維新にかけての、点在する史跡をネットワークとして世界遺産に登録しようとする動きがありますが、今から150年前に、この地が、日本最先端の地、日本改革発祥の地、ひとつの時代を終わらせ、新しい時代を作り出した革命家たちが闊歩していた地とは、想像だにできません。


 皆さんが自分でテーマを作って、観光するとそれは大変楽しくなります。Samurai Worldはそういうテーマを皆さんに提供していきたいと思います。


 ところで、観光にあれば便利なものとして、1.地図 2.史跡ガイドブック 3.カメラ 4.折り畳み自転車あたりです。

1.地図は、広域と詳細図が確認できるもの一冊があれば便利です。訪問予定の場所、訪問した場所を記録しておくと思い出になります。最近は電子地図が便利で、これとGPSを組み合わせれば、自分の旅の行程がすべて記録でき、どのような動きをしたか一目瞭然です。GPSは最近1万円程度で優れたものが購入できます。ただしパソコンがないとダメです。

2.史跡ガイドブックとしては、山川出版社からてでいます各県の歴史散歩シリーズが便利です。場所によっては正確な位置が書いてないので、マイナーな史跡を訪ねるには苦労します。

3.カメラまたはビデオは、各自お好きなものでよろしいのでは。
 最近はビデオでも静止画がきれいに撮れるものから、逆にカメラでビデオが撮れるものまで、ビデオとカメラとの境界線がなくなりつつあります。GPS機能も今後はカメラに内蔵されてくるはずですから、今後の購入の目安にして下さい。
 
4.観光地で車の中から折り畳み自転車を引っ張り出している年配の方をお見受けするときがありますが、かなり通ですね。これがあればスポットでの行動半径はぐんと広がり、時間節約にも貢献します。町並みなどかなり広範囲を見学するような場所では、ほんとうに便利です。徒歩で回ろうとするから、疲れて限られた場所しか見ないで去っていく観光になっていませんか。町の隅々まで回ると、その町を生み出してきた歴史と生活空間を深く感じ取ることができます。一日その町で過ごすことができれば、ゆったりとした時間を味わい、それこそリラクセーションとしての観光になろうと思います。ただ行ってきただけ疲れただけの観光になっていませんか。
 自転車といってもピンきりです。1万円程度のものから50万円以上するものまであります。どこが違うとか言いますと、乗って見られたらわかります。パンクの修理くらいは自分でできるようになりましょう。最近では応急用パンク修理剤もありますので携行しておくと便利です。鹿児島県内の観光地にはレンタルサイクルがほとんどないですから、自転車は持参が必要です。他県ではレンタルサイクルはよく見受けます。

 高速道路の1000円ぽっきり作戦だけではなく、今後はJR、バス、フェリーなどの公共交通システムと自転車との連係プレーがスムーズにできるシステムを作り上げていく必要があると思います。そのためには協力体制が不可欠ですが。バイクでツーリングされている方はうらやましいですね。江戸時代の宿場町のようなツーリングネットワークがあれば便利です。高知県のバイクツーリングのためのライダーハウスのような施設は便利だと思います。
  道の駅の活用度がいまいちです。各地の道の駅は地域の特色は出しているつもりでしょうが、地域の特産物の展示コーナーに偏りすぎています。わが町の特産物を買ってくれ、という姿勢が見え見えです。食堂の食事料金も結構高め。弁当250円の時代に経営努力が足りないと感じます。もっと創意工夫する必要が大いにあります。
 スポットからスポットへの移動は、自動車や飛行機、列車、そしてスポットでの行動は自転車が一番です。適度な運動にもなり、知的刺激と健康が同時に享受できます。西ヨーロッパでは自転車文化は熟成していますが、日本ではママチャリ程度の認識しかなく、今後のエコ社会、健康普及社会のことも考えれば、観光関係者のみならず行政はもっと積極的に導入普及させていくきだと思います。


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