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The Strucures of the Japanese old castles
このコーナーでは、中国地方の中世山城の特徴などを実例を交えて紹介します。近世城郭へと受け継がれていくノウハウなどが確認できます。またご自身で中世の山城の遺構を探訪される時の参考にしてください。



郭(曲輪とも書きます)くるわ
城の中心をなす構造物。近世城郭で・・・丸と呼ばれるものです。 中世までの城は自然の山を利用したものなので、山の平坦部や斜面を人工的に加工しています。郭と郭とは段差や空堀を設けてそれぞれ独立させています。郭の用途・機能によってそれぞれ名称がついています。

実例−益田七尾城
堀切
中世末期の山城に見られるもので、山の尾根部分に展開している曲輪郡を独立させるため、尾根を人工的に区切ったもの。

実例−宍戸氏五龍城
 
釣井の段(壇)
この郭は、特に井戸を設けて水利目的に使用した郭です。城の役目の一つは、籠城ですから、いざ籠城戦のときに水利は貴重な軍事物資となります。 中世は領主とその領主の土地の農民との結びつきが強く、農民などもともに城に籠城することもあるわけです。ひとつの山城に多くの井戸をもっている場合が多くあります。

実例−新高山城
勢留の段(せいだまりのだん)
城内から一斉にうって出るときのために、兵を待機させておくための郭です。

実例−郡山城
厩の段(うまやのだん)−馬場も同じ
読んで字の如くです。馬を置いていた郭です。

実例−二つ山城
土塁(どるい)
中世の山城では、石垣が使われることはほとんどなく、土を盛り上げたものです。これを土塁と言います。 土居とも言います。

実例−益田七尾城
追手門(おうてもん)
城の表側の入り口のことです。

実例−新高山城
搦手(からめて)
追手に対して、城の背後を搦手と言います。

空堀(からぼり)
近世の平城では見られませんが、中世の山城では水をはった堀ではなく、ほとんど空堀で、城全体や郭を防御します。水堀より防御機能としては勝れていると言われています。数メートルのものから、数十メートルもある空堀までさまざまです。

畝掘(うねぼり)
空堀の一種で、堀の底にちょっとしたあぜのような土盛がある堀のことです。これは敵が堀を一気に駆け抜けてくることを防ぐためです。障害物のある空掘ということです。

類例−岩国城
竪堀(たてぼり)
空掘の一種で、山の傾斜に沿ってたてに掘っている空堀のことです。敵の兵が横へ移動することを防ぐ機能をもっています。

虎口(こぐち)
城の出入り口のことです。防御上、城の出入り口は狭く小さくなっています。もともは小口と言う意味だったものが、近世城郭では、最重要な場所であることから、虎の歯牙に例えられたことに由来します。

枡形(ますがた)
虎口の内または外に設けられた防御施設。四角い形になっているのでこう呼ばれます。 中世城郭ではあまり見られず、近世城郭の特徴。

犬走り(いぬばしり)
土居(土塁)や石垣の上の平坦部のうち、外側の狭い部分を犬走りと言います。土居の見回りなどに使用します。

櫓(やぐら)
近世城郭の天守閣に当たるもの。

実例−新高山城
矢倉の段(やぐらのだん)
武器庫として用いられた郭。櫓ももともとは同じところにあったと考えられる。

太鼓の段(たいこのだん)
これももともとは矢倉とおなじです。また防衛上の見張り的な機能をもっていた。

実例−頭崎城
 


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